日本におけるインド・オフショア開発の可能性

オフショア開発とは、ソフトウェア開発やWebシステム開発、スマホアプリ開発、ソーシャルゲーム開発から、運用保守管理などを海外の開発会社や海外子会社にアウトソースすることで、開発コストを削減する手法のことを言います。 IT先進国のインドは、コスト面や高い技術力などから、ITサービス輸出額を伸ばしオフショア開発先として成長しています。 

多くのメリットがあるインドオフショア開発ですが、その一方で、言語や商習慣などの違いから生じるマネジメントや品質管理の難しさが課題となります。 では、日本企業がオフショア開発をする際に、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか?今回は、オフショア開発の現状と、成功のために必要なポイントをご紹介します。

 

オフショア開発の現状

インドのサービス輸出の7割は米国に対してであり、それ以外は欧州が主な取引先となっています。アメリカのシステム開発市場はおよそ100兆円。オフショア開発が占めている割合はその10パーセントとされています。

 一方、日本はと言うと、インドから日本へのサービス輸出は輸出量全体の約5%。日本のシステム開発市場の約10兆円のうち、オフショア市場が占める割合はわずか1パーセント程度に過ぎません。

 オフショア開発でのエンジニアのコストは、日本と比較して1/2~1/5程度と言うメリットがありますが、英語を話す人材の確保の難しさなどもあり、日本からインドに対するオフショア業務を行っているのは大企業がメイン。中小企業ではほとんどないのが現状です。

オフショア開発のメリット

日本ではまだあまり一般的ではないオフショア開発ですが、様々なメリットがあります。

1、 コスト削減 

インドのエンジニアのコストは日本と比較して1/2~1/5程度と言われていますが、実際どのくらい違うのが、ソフト開発職の年収を例にとって見てみましょう。日本には、ITエンジニアのスキルを数値化するITSS(ITスキル標準)という基準があります。エントリーレベルに当たるのが、未経験〜レベル2まで。レベル3〜レベル5が中堅層に当たりますが、日経Xtechによると、日本人エンジニアの各レベル毎の平均年収は下記のようになります。

未経験: 342万円(26.8歳)。 レベル1: 375万円(29.8歳)。レベル2:  414万円(34.4歳)  レベル3 : 472万円 (38.4歳)。 レベル4: 545万円 (43.5歳)。 レベル5: 573万円(47.8歳).

出典:日経 Xtech https://xtech.nikkei.com/it/atcl/ncd/16/120100052/

 一方、インドのソフトウェア開発エンジニアの平均年収は、大手求人サイトindeedによると、エントリーレベルで約24万ルピー(約37万円:20年2月20日現在のレート)。 *年収は、過去36ヶ月において、13人の雇用者、ユーザー、過去と現在のインディードの求人広告により推定。最終更新日は2019年12月5日。 https://www.indeed.co.in/salaries/entry-level-software-engineer-Salaries

それ以上の経験のシニアレベルは80万ルピー(約125万円:20年2月20日現在のレート)となっています。 *データは過去36ヶ月において、1869人の雇用者、ユーザー、過去と現在の求人広告により推定。最終更新日は、20年2月15日。 https://www.indeed.co.in/salaries/senior-software-engineer-Salaries

また、右図はソフト開発にかかる1時間あたりのコストを表したものですが、インドは29ドル以下と最も安くなっています。

 

オフショア開発ではよくインドと中国は比較されますが、中国の開発費がインドより高くなっている事からも分かるように、近年、中国では人件費が高騰し、以前よりコストメリットが少なくなっています。 

Payscaleの記事によると、中国のエンジニアの平均年収は(チップ、ボーナス、残業代含む)、経験1年未満で約14万元(223万円)、1-4年の経験で18万元(287万円)、5-9年のミドル層で24万元(382万円)、それ以上のレベルで22万元(350万円)となっています。 https://www.payscale.com/research/CN/Job=Software_Engineer/Salary

2、 インドのエンジニアは層が厚く、意欲のある若者が多い

 インドの人材開発省によると、インドにはエンジニア教育を提供する機関が6,214あり、毎年約150万人ものエンジニアが雇用市場に出ています。

経済産業省の報告によると、日本のITエンジニアは文系出身者が多い一方、インド人エンジニアのほとんどが情報工学系などの理系出身です(下左側グラフ参照)。また、下右のグラフで各国ITスキル標準レベルが示されていますが、インドでは高度な知識・技能を有しているとされるレベル4以上の割合が6割以上と高い割合となっていることからも、いかにインドのエンジニアの層が厚いかが分かるでしょう。(出典:経済産業省 IT 人材の最新動向と将来推計に関する調査結果 https://www.meti.go.jp/press/2016/06/20160610002/20160610002.pdf)

3、低コストで専用の開発チームを作ることが可能

 オフショア開発には、単に海外に業務委託するだけでなく「ラボ型開発」と言われる手法があります。ラボ型開発とは、海外現地で専用の開発チームを作る事で、希望するスタッフでチームを作り業務委託することが可能です。中長期的な案件の場合、継続してスタッフを確保できるため開発の生産性が上がります。また、仕様の変更が多く柔軟な対応が求められる案件や、緊急の案件が発生した場合もすぐに対応できるなど、自社並みに自由度の高い開発が可能です。 お互いの企業文化や手法を熟知した信頼のできる1つの会社、1つのチームに発注し続けることはリスク回避になり、同時に「コストダウン」というメリットも生み出すことはオフショア開発の大きな魅力です。

オフショア開発で気をつけるべき事

様々なメリットがあるオフショア開発ですが、気をつけなければいけない点も幾つかあります。

まず1つ目が、意思伝達ミスが生じないよう円滑なコミュニケーションを取る事です。 言語の違いや時差(インドとは約3時間)がある場合、情報の欠落や誤解などによるミスが起こりやすくなり、品質管理が大変になる事があります。これを避けるためには、やはり開発チームと密に連絡を取り、チェックや評価をする。出来るだけ対面による意思伝達もするなどして、円滑なコミュニケーションを取ることが重要です。

そのため、オフショア開発では通常、2社間の調整役をするブリッジエンジニア置いてプロジェクトを進めます。 ブリッジエンジニアは、互いの言語や企業文化に精通し、プロジェクトを円滑に進めてくれる「架け橋」で、一般的に日本語を使用してコミュニケーションが取れ、システム開発の知識がある人が担当します。

この仕事は、技術だけではなく、コミュニケーション力や管理スキルも必要となるため、一般的にはエンジニアを経験してから目指す人が多いです。 ブリッジエンジニアは発注者と開発チームの間に立ち、プロジェクトを成功に導く重要な役割を担いますが、この人員をどう雇用・育成するか。日本とインドのどちらに置くかなど、考えておく事も重要なポイントです。

 2つ目に大切なことは、互いの文化を理解し合う事です。

文化や商習慣の異なる人達同士では、自分にとって当たり前のことが、相手にとっては非常識である事があり、プロジェクトに影響を及ぼすこともあるため、互いの文化を理解しておくことも重要となります。

例えば、インド人は日本人より物事をはっきりさせたい傾向があり、日本人のように行間を読んではくれません。 また、宗教的理由でベジタリアンも多いので、お土産やレストラン選びの際は気をつけなければいけません。

ビジネス習慣に関しても、日本とインドでは違います。日本人は納期を設定し、そこから逆算してプロジェクトを進めます。しかし、インドは一つずつステップをクリアし積み上げていくやり方で遅れが出やすくなりますが、クオリティを上げるためなら遅れても仕方ないとする傾向があります。

また、インド人は時間にルーズとよく言われます。それはインドでは事故や渋滞などが多くインフラ整備が遅れている事と深く関係していますが、時間感覚が日本人とは異なります。 日本人ならば「10分前行動」が身についており、不測の事態を見越し行動しますが、インド人はそのような考え方をしません。

このような考え方の違いを理解し、日本側の考え方や手法も事前に伝えておく。開発側に一任せずミスや遅れをこまめにチェックし、納期遅れがあった場合の損害金などのペナルティーを細かく定めておくなど、日本側がきちんと準備しておく事も大切です。

最後に

日本は2030年には3人に1人が高齢者になり、深刻な労働者不足・IT人材不足に陥る事が予測されていますが、この問題を解決してくれるのが、外国人材、特に英語堪能でITスキルの高いインド人材ではないでしょうか?

弊社でご紹介するインド人材はみな日本語が話せ、中には日系企業での就業経験を持つものもおります。 また弊社では、インド人向けにオンラインの日本語講座も始め、インド人がより早く日本の生活に溶け込み、円滑に就業できるよう尽力しております。ブリッジエンジニア等、インド人IT人材をお探しの際は是非お気軽にご相談ください。

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