ユニクロ、インド1号店がオープン

2019年10月4日に、ユニクロを運営するファーストリテイリングがインド1号店をデリーにオープンしました。場所は高級商業施設「アンビエンス・モール」内で、売り場面積は3,300 平方メートル。世界でも有数の広さを誇ります。

続いて11月には2号店をニューデリー南部の商業施設「DLFプレイス・サケット」に、3号店はIT都市グルガオンの「DLFサイバー・ハブ」に設置し、年内に3店舗体制を目指す事が発表されています。

ユニクロは今回の進出にあたり、現地向け商品をインド人女性デザイナーのリナ・シンと共に開発。インドの伝統服あるクルタを現代風にしたデザインで、蒸し暑いインドでも快適に着られる様に開発したリネンなどを使用しています。このクルタは日本や、東南アジア各国(シンガポールやマレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン)でも販売される予定。

 右写真 出典:https://www.uniqlo.com/jp/ja/contents/lifewear-magazine/kurta.html

これまでインドでは国内産業を保護するため、店舗で販売する商品の30%をインド国内で調達しなければならない・インド国内に実店舗がないとECはできないなど、外国資本へ様々な規制が設けられていました。しかし近年、これらの規制が緩和傾向にあり、2019年8月28日にインド政府は、単一ブランドを取り扱う外資系の小売業などに対する直接投資(FDI)規制を一部緩和する事を発表。これにより、現地調達規制が30%から10%に引き下げられたり(生産品の20%をインド国外に輸出するという条件有り)、実店舗をオープンする前にECを展開できるようになるなど、ビジネス環境が変わり始めています。

 インドの経済成長は目覚ましく、インド経済監視センター(CMIE)によると、インドのCAGR(年平均成長率)は13.8%で、09/10 年度の1兆9,240 億ルピーから8年間で2.8 倍に急増、アパレル市場規模は2020年までに2兆5000億ルピー(約4兆3000億円)に達する見込みです。 このような状況の変化が、今までインド進出に高い壁を感じていた企業とって追い風となっており、近年、日本の小売・サービス業のインド進出が活発になっています。

インド人のファッション事情

13億人という巨大市場を狙い、各国から続々とアパレル企業が進出していますが、インド人のファッション事情はどうなっているのでしょうか?

 <<普段着>>インドといえば、サリー(写真左)などの民族衣装が有名ですが、近年は洋装化が進んでいます。 特に男性は洋服が多くなっていて、普段着はTシャツ、ビジネスマンはスラックスにシャツという様に、日本とあまり変わらない様子です。

 女性に関しては、若者や都市部で洋装化が進んでいるものの、男性に比べると民族衣装率が高い傾向に。この傾向は日本在住のインド人にも当てはまる様で、例えば東京では、夫が洋服・妻が民族衣装で連れ立っている光景をよく見かけます。

 サリー(写真左) :女性の民族衣装で、5~6mほどの長方形の布を体に巻きつけて着用します。シルクのフォーマルな物から、綿やポリエステルの普段着まで様々な種類があります。

サルワールカミーズ(写真右):カミーズ(シャツ)とサルワール(太いズボン)を組み合わせたスタイル。

クルタ:膝丈くらいの長さのシャツ

チュリダール:細身のパンツ

サリーは着付けに時間がかかり、長い裾や袖が動きにくいので、近年はより簡単で活動的になれるパンツスタイルが人気です。

<<  色やデザイン>>

日本よりずっと華やかな物が好まれ、普段着にも刺繍が施されていたりします。インドでは昔から刺繍など手工芸が盛んで、王族たちを着飾るために豪華な刺繍が発展しました。 19世紀頃には当時の支配国イギリスを通し刺繍製品がヨーロッパに輸出され、現代でも世界中の女性たちに愛されています。

 

 <<ファッションのタブー >>

色や柄などに特に制限はない一方で、足の露出や体のラインがはっきり出る様なデザインはタブーとされています。そのため、ロングスカートやゆったりしたズボンをはき、体のラインを隠します。 ただし、お腹は出すのは下品とはみなされておらず、例えばサリーの下に着るチョリというブラウスはお腹が出る作りになっています。

インドでユニクロはどう受け入れられるのか?

既に世界中から多くのアパレル企業がインドに進出していますが、 日本でユニクロとよく比較されるH&MやZARAも出店済みで、2017〜2018年度の売り上げはH&Mが89億3千万ルピー(約138億4千万円)で前年度より39.5%増。ZARAは前年度比19%増の122億1670万ルピー(約138億4千万円)と順調な伸びを見せています。では、インドでユニクロは今後どう受け入れられていくのでしょうか?

 

 ユニクロの強み・特徴は、シンプル・リーズナブル・高機能素材開発の3つが挙げられます。

 1. シンプル    デザインはシンプルなものが多く、着回しがきく。日本同様、ビジネスシーンなどで重宝されるでしょう。 

 2.リーズナブル ユニクロの価格帯はH&MやZARAよりはやや低めで、ここも一つの強みになってくるででしょう。ちなみに、日本ではユニクロは庶民の味方ですが、インドでは立派なブランドになります。もちろん、グッチやエルメスのようなハイブランドの扱いにはなりませんが、中間層向けブランドという位置付けになるでしょう。

 3.高機能素材開発  海外ファストファッションブランドとの一番の違いは、高機能素材の開発にあるでしょう。同社はこれまでに東レと共同開発し、ヒートテック、エアリズム、ドライEX、ウルトラライトダウン、感動パンツなど、様々な高機能素材のヒット商品を世に送り出してきました。今回、インド進出の目玉商品となっているクルタにも、この商品のために開発されたプレミアムリネンやイージーケアのレーヨンが使用され、蒸し暑い気候でも快適に過ごせる工夫がされています。このような開発力が、他ブランドと一線を画す強みとなるでしょう。

 インドは一年中暑いというイメージを持ちがちですが、ユニクロ1〜3号店のあるデリーおよびその近郊都市はインド北部に位置し、冬の朝晩は冷え込みます。12月〜2月の最低気温は10度以下になり、薄手のダウンジャケットやコート、セーターなどが必要となるため、夏物はもちろん、実は冬物衣料の需要も高いのです。 日本ほどはっきりとした四季はありませんが、冬はウルトラライトダウン、夏はエアリズムなど、日本とほとんど変わらないラインナップが現地でも受け入れられそうです。

 社長の柳井氏は、10月3日のインド1号店オープンでの会見で、「ユニクロは環境に配慮しながら最高品質を手頃な価格で提供するスローファッションである。欧米のファストファッションとは異なる」と強調しています。 近年、同社はダウンジャケットの中綿の再生や染色による水質汚染削減などの環境問題に力を入れており、今後は環境に配慮し持続可能な社会を目指す「サステナブルブランド」という新たな側面を押し出しながらインドでブランディングしていくと予想されます。 

 

歴史を振り返ってみると、日本の洋装化は明治時代、まず男性から始まり、戦後の民主化により女性に広がりました。今後インドでも、女性の社会進出や地位向上に伴い、似た様な流れで洋服のニーズは高まっていく事が予測され、アパレル企業にとって大きなチャンスとなるでしょう。

 

 

Subscribe To Our Newsletter

Join our mailing list to receive the latest news and updates from our team.

You have Successfully Subscribed!