中小企業Power BI活用事例①
化粧品メーカーの海外子会社管理
「BIツールって大企業が使うもの。うちみたいな中小企業には縁のない事」 そう思っていらっしゃる経営者の方は多いのではないでしょうか? 「2018年版 小規模企業白書」第2部 第1章 第2節“小規模事業者の経営者の業務負担”によると、近年の人手不足への対応として、経営者が労働時間を増やし対応する傾向が強く、経営者の負担が増している事が分かりました。 中でも特に負担となっているのが、「在庫管理」「会計」「受発注」といった間接業務で、それらを「紙」で管理している事業者がとても多い事も分かりました。
右図は、間接業務のIT 導入業務数を表したもので、「財務・会計」、「在庫管理」、「給与管理・勤怠管理」、「受発注」、「顧客管理」の5 つの間接業務のうち、「パソコン等でほぼ電子化」しているものをIT 化しているとし、IT 導入業務数を示した物です。
出典:https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H30/PDF/h30_pdf_mokujisyou.htm
間接業務の IT 導入度は、5業務でIT化している:高レベル。 3〜4業務でIT化している:中レベル。 1~2業務でIT化している:導入初期 。 IT化している業務はない:未導入 と定めています。
図によると、「高レベル」の事業者は 10.5%、「中レベル」の事業者は 16.2%、「導入初期」の企業は31.2%、「未導入」の事業者は 42.1%となっています。また、経営者の年齢が高いほど、IT導入の割合は低くなる事も明らかになりました。この報告よると、「高レベル」の事業者は10.5%、「中レベル」の事業者は16.2%、「導入初期」の企業は31.2%、「未導入」の事業者は42.1%となっています。また、経営者の年齢が高いほど、IT導入の割合は低くなる事も明らかになりました。
では次に、経営者の1 週間当たりの平均休日数を表した図を見てみましょう。これによると、休日が「1日」と答えた人が74.5%、「0日」も7.3%となっており、経営者のワークライフバランスいう観点でも、ITによる効率化が喫緊の課題となっている事が分かります。
一見、「ITの導入は難しそう」と身構えてしまう方もいるかもしれませんが、もしこのような間接業務を効率化する事が出来れば、浮いた時間をより大きな利益を得るための業務に使う事ができます。弊社では、この一歩踏み込んだ働き方を、マイクロソフト社のPowerBIというツールを使いご提案し、中小企業のみなさまにもご好評いただいております。では実際に、中小企業ではどのようにPowerBIを活用しているのでしょうか?今回は、弊社が実際にサポートしたお客様のプロジェクトを例に、中小企業のBIツール活用法をご紹介したいと思います。
クライアント
化粧品メーカー。従業員数140人。日本を始め、上海、シンガポール、タイなどアジアを中心に、高級化粧品を販売しています。今後、その他海外への進出を目指し、BIツールで業務改善をしたいとのご希望でした。
課題
PowerBIを導入する前は、各海外子会社の売上、経費、人件費などの報告にタイムラグがあり、特に月次報告書は2-3ヵ月遅れになる事が大きな問題となっていました。 また、様々な人の手が加わる事で、データへの信頼性も疑問視されていました。
導入の成果
1.迅速かつ最適な経営判断が可能に
海外子会社の各担当者は、まずダッシュボードにデータを入力します。社長は、より信頼性の高いオリジナルデータをタイムリーに見る事ができるので、最適かつ迅速な経営判断を下せるようになりました。
2.モニタリング強化
一般に海外子会社は言語、文化、商習慣の違いから親会社からのガバナンスが効きにくいという傾向がありますが、社長がデータに対し担当者に直接質問ができるので、モニタリングが強化されるようになりました。
3.情報の深堀りで、新たな知見を
これまでの手法では、「何が起きたか」という結果は容易に知る事ができましたが、「なぜ起きたか」という理由を正確に突き止められないという事が多々ありました。しかし今では、全ての情報がダッシュボード上に集約されているので、例えば気になる経費があった場合、その項目をクリックするだけで「いつ・誰が・何に使ったか」を瞬時に確認できるようになりました。このように、BIツールで情報を深堀りし問題の本質を見極める事で、適切な改善策を取る事が可能です。
今回は、海外子会社管理を中心にBI活用術をご紹介しましたが、次回は後編として、同社のPowerBIを活用した在庫管理についてご紹介したいと思いますので、ぜひご覧ください。
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