日本語能力試験の受験者は増加。2019年は過去最高に! 近年、日本語能力試験の受験者は増加しており、特に2015年以降、受験者は驚異的な伸びを見せ、2015年の国内・18万4,069人、海外・46万8,450人から、2019年は国内・43万9,085人、海外・72万9,450人と過去最高を記録しました。 とくに増えたのはアジアで、中国(19万2,394人→27万3,535人)、ベトナム(4万7,121人→7万8,318人)、ミャンマー(6,504人→5万2,604人)、インド(1万104人→2万6,402人)となっています。 日本語能力試験の受験目的は、単なる能力の測定から就職、昇給・昇格、資格認定への活用、出入国管理上の優遇のためなど多岐に渡るようになり、留学生による進学を目的とした受験も多くなっています。2009年に従来の年1回から夏冬の年2回開催へ拡大。翌年には1級~4級の4段階認定がN1~N5の5段階認定となるなど、大幅な刷新も行われています。 このように、多くの外国人が日本語に触れ、興味を持つようになった事は大変素晴らしい事です。しかし一方で、この状況は、日本のグローバル化の遅れ、つまり、日本人の英語力が低いため、企業が外国人材に高い日本語能力を求めざるを得ないという状況も少なからず反映されています。 実際に、外国人向け求人サイト「日本仕事.COM」によると、IT技術者に対し日本語能力N3(日常会話)以上を求めている企業は35件だったのに対し、N2(ビジネスレベル)以上を求めている企業は1300件と、企業の多くがビジネスレベル以上の能力を求めている事が分かりました。出典:日本仕事.COM:https://nipponshigoto.com( 2023.1.18弊社調べ)。 ちなみに、日本語能力試験を運営しているJPLTによると、N2とは、「日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より広い場面で使われる日本語をある程度理解できる。幅広い話題に関する新聞や雑誌の記事や解説、平易な評論などを理解できる。」レベルです。(上図) N3のレベルは、「日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる。日常的な話題について書かれた具体的な内容を表す文章を読んで理解できる。新聞の見出しなどから情報の概要を掴む事ができる」レベルです。(下図 富士山の思い出) N2合格に必要な漢字数は約1,000文字、単語数は約6,000語とされており、N3に比べると大幅に難易度が上がります。そのため、フィリピンやインドを始め、英語が浸透している国の高度人材は、言語障壁の少ないアメリカやカナダなどでの就職が第一選択肢になり、日本はなかなか選んでもらいにくい状況です。 また、日本で学び就職を希望している留学生の場合も、N2の壁により、あきらめて欧米に就職というケースも見られます。というのも、高度人材が世界中から集まるMBAコースや理系大学院では、研究室での会話や講義は英語という所も多くなります。そのため、会話は流暢になったけれど、漢字があまり得意でない人も出てきてしまい結果、就職の機会を得られなくなってしまうのです。 このように、優秀な海外高度人材がせっかく日本で就職したいと思っても、日本語が原因で、日本は優秀な人材を逃し、IT化やグローバル化が進展しないという大きな問題が生じています。 海外IT人財の日本語能力への考え方を見直そう!
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