日本よりすごい?? 

〜インドの数学教育の特徴〜

近年、インドはIT大国と称され、インド人がグーグルやマイクロソフトなどグローバル企業のCEOとして活躍し、多くの優秀な理系人材を輩出しています。なぜ、インドでは優秀な理系人材が育つのか、その秘密を今回はインドの教育事情から紐解いていきたいと思います。

インドの教育制度

インドでは,教育は中央政府と州政府が共同で行うことになっていて就学年数などは州により少しずつ違います。しかし、基本的には5・3・2・2制で、小学校が5年,中学校が3年(6~8年生),中等学校が2年(9,10年生),上級中等学校が2年(11,12年生)となっています。義務教育は5歳の1年生から13歳の8年生まであります。

インドの小学校の入学基準は、「その年の3/31までに満5歳になっている者は、その年の4月1日に第1学年に入学する」なので、日本よりも1歳早く小学生になるイメージです。

加えて日本と大きく異なるのは、上級中等学校2年生(12年生)のときに修了資格のための全国共通テストがある所です。このテストの結果は,留年か卒業かだけでなく、大学への進学にも影響するため,生徒たちは一生懸命勉強しています。

右画像出典:ベネッセ

https://berd.benesse.jp/berd/center/open/berd/backnumber/2008_14/ren_kitani_02.html

 

 数学の学習進度が早く、内容が多い

日本とインドを比べてみると、数学に関してはインドは学習進度が早く、一度に学ぶ単元の内容が多いという特徴があります。

例えば、東京都葛西にある「グローバルインディアン・インターナショナル・スクール(GIIS)」というインド人学校では、現地と同じカリキュラムで進めています。ここでは幼稚園のK2(4歳半~)から『2の段』や『5の段』の掛けと簡単な足し算や引き算を始め、G2(日本の小1)では割り算、G3(日本の小2)では3ケタ同士のかけ算も教えるそうです。

 日本の学校では、九九を習い始めるのは小2からで、九の段までしか習いません。しかしインドではダースの計算に便利なので、12の段まで暗記している人が多いそうです。また、小学校でも20の段まで暗記するよう指導されるため、弊社インド人スタッフも小学校の時に20の段を学習したとの事です。

ちなみにインドのG3年生(日本の小2)で学習する3桁同士のかけ算は、日本ではゆとり教育の導入時に削除されてしまっています。こうしてみると、インドの数学の進度が日本よりずっと早く、内容もより多いことが分かります。

画像出典:東京都葛西の「グローバルインディアンインターナショナルスクール」より。インド式教育法が日本人にも人気。

https://jp.globalindianschool.org/tokyo-japanese

 

IT社会に適応した、実践的な数学教育

更に日本とインドの数学教育を比較すると、インドでは「データ処理」、つまり統計が重視され、必修の基本分野として設けられているという興味深い点がありました。ビックデータ時代と呼ばれる現代において、一般企業が大量に集められたデータを分析し、それを集客や商品開発などマーケティングに活用することは当たり前となっており、ITと統計は密接な関係にあります。

この流れは更に加速しており、近年では、例えば「データサイエンス」というデータ分析に基づきビジネスのさまざまな課題を解決する分野が注目を集めていますが、これにも統計の知識が必須です。このような状況を受けて、2000年頃から世界各国で統計を数学教育の重点に置く傾向があり、インドもそのようになっているのです。

では、インドでは具体的に統計をどう学ぶのかを見てみましょう。まず小学校1年生では、紙の切れ端を使い腕の長さや頭囲を測り、簡単なデータを集め、それらを表現・解釈することから始めます。4年生になると、折れ線グラフ、棒グラフ、帯グラフ、円グラフをまとめて学び、それぞれのグラフの持つ特徴、各グラフの視覚効果、各データに適したグラフはどれかなどを考えていきます。 更に学年が上がると、パソコンを使用して図表の作成を行い、それをいかにプレゼンテーションに活用するかなど、過去に学んだ内容をどんどん展開させながら実践を通して学習していきます。

日本はインドと比較すると統計に割く時間がずっと少なく、この問題は数学者たちが以前より指摘してきましたが、現在でも大きな改革はなされていません。インドのように、小1からデータに親しむ事は、IT社会に適応した人材を育む第一歩となっているのかもしれません。

様々なインド式計算法

インドはゼロの概念が発見された場所として有名ですが、インド人はそれを誇りに思っています。インドで数学が発展してきたこともあってか、インドには日本にはない様々な計算法があり、これは「インド式計算法」と呼ばれています。

では、どのような計算法か幾つか例にとってみてみましょう。例えば、「139×142」の掛け算は、インド式では下左の図のようにします。ここで13×14の部分が「暗算」されていますが、やはり9より大きな段まで暗記しているという前提があっての方法でしょう。

もう1つ面白い計算法があります。下右の図には12×23の問題がありますが、こちらは十の位と一の位を分け、それらの数字を線で表し、交点を数えて答えを出します。数字が大きくなると線がごちゃごちゃして数えるのが大変になりますが、視覚的に分かるので、まだ計算が得意でない小さい子に教えたり、数学の面白さを伝える時に最適ですので、皆さんもぜひ試してみてください。

 出典:casioのサイト「KE!SAN」よりhttps://keisan.casio.jp/exec/system/1193296961

以上のように、インドの数学教育の特徴について日本と比較しながら見てきましたが、インドでは数学が社会により深く根付いているように感じます。

 実際に、経済産業省が行なった世界8カ国のIT従事者を対象に行った調査によると、大学で理系専攻だった人はインドで約86パーセント、日本は49パーセント。また、「IT技術者という仕事には夢がある」と答えた人は、インド86.4パーセント。日本は47.2パーセントです。(出典:IT人材に関する各国比較調査 結果報告書 平成28年6月10日https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/27FY/ITjinzai_global.pdf)

 近年、日本では理系離れ・理工離れが問題として取り上げられる事がありますが、反対にインドではIT産業に憧れを抱いている人が多いため、理系専攻にも意欲的です。インドの理系人材の層は厚く、優秀なITエンジニアを多数排出している背景には、そのような若者の夢が教育を通して育まれているからかもしれません。

 

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