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インドで独自進化 知って楽しいインド英語

2020-04-17 00:17:45

インドで独自進化

知って楽しいインド英語

インドの公用語はヒンディー語ですが準公用語は英語で、2011年の国勢調査によると1億2900万人が英語を話すと回答しました。この数は人口の10.6%ほどですが、それでもインドはアメリカに次いで世界で二番目に英語話者が多い国となっています。

インドの英語教育の歴史は古く、植民地時代にイギリスとインドの橋渡しをするインド人エリートを育成するために始まりました。現在では、幼稚園の3歳から英語の授業があるため、富裕層や中間層の人であれば流暢に英語を話せる人が多いです。また、それ以外の層の人でも、看板や商品パッケージなど至る所に英語が溢れているため、多くの人が生活に必要な日常会話ならできたりします。

英語ネイティブがたくさんいるインドですが、面白い事に、インド英語はイギリス英語そのままではなく、長い歴史の中でヒンディー語やウルドゥー語の影響を受けたり、新しい単語や表現が生み出されたりとインド独自の発展をしています。今回は、知って楽しい・役に立つインド英語を、歴史的背景を交えながらご紹介していきたいと思います。

なぜインドで英語が広まったのか?

イギリスが宗主国であったとは言え、外国語である英語がなぜインドで準公用語となり、社会に浸透したのか疑問に持つ人も多いと思います。 

これには2つの理由が考えられますが、 まず1つ目は、インドが多言語国家であるためです。右の図は、インドのどの地域でどんな言語が話されているか表したものですが、公用語のヒンディー語以外にたくさんの言語が使用されているのがわかります。

 

多民族国家のインドには、州公用語が約30、憲法で認定されている言語が22、方言に至っては2000から3000あるとも言われているため、インド人同士でもコミュニケーションが難しい場合があるそうです。

 

そのため、1947年にイギリスから独立する際に英語を排除する動きもありましたが、国内のコミュニケーション手段として生き残る事となりました。

 

もう1つの理由は、英語が政治的・地理的に中立であったためです。今では公用語となっているヒンディー語ですが、元々はインド北部のローカル言語の1つに過ぎませんでした。ヒンディー語は一番大きな言語グループではありますが、他の民族の中にはヒンディー語を話す事に抵抗する人たちもおり、英語はこのような民族感情に影響しない中立的な言語として受け入れられました。

 

英語は外国語であるが故に排除の危機に面しましたが、最終的に外国語であったためにインド社会に受け入れられたのです

発音の特徴「インド英語はスペル通りに読む」

それでは、インド英語にはどういった特徴があるのでしょうか? まず最大の特徴にあげられるのは、「インド英語はスペルどおりに読む」ことです。英語なら、文字と発音が一致しない事が多々ありますが、インドではスペル通りに読む事が多いようです。

例えば、park(公園)という単語の場合、 アメリカ英語では“r” は発音せず、カタカナ読みだと「パーク」に近い発音になります。 しかしインドの方は、 “r” もきちんと発音し、parkは「パルク」に近い音になります。ですので、paper(紙)→ペーパル。four (4)→フォール。 father (父親) →ファーダル。brother(兄、弟)→ブローダルのように聞こえます。

日本人は”r”の発音が苦手ですが、インド人も”r”を独自に発音するところが共通していて親しみを感じます。

 単語・言い回しの違い

では、次にビジネスや日常会話でよく出てくる、インド独特の言い回しを見てみます。

● What is your good name?  

“good”が入っているので、「良い名前…?」と初めて聞いた人はビックリするかもしれません。ですが、このgoodには特別な意味はなく、単純に「お名前はなんですか?」という意味です。

 ● Please do the needful.

インド人がメールで頼み事をしてくると、必ずと言っていいほどこの表現が文末にあります。ニュアンスとしては、「お手数ですがよろしくお願いします。」と言った感じになります。

 ● I passed out of my college.

れは、「大学を卒業しました」という意味です。“pass out” は一般的には気絶するという意味ですが、インドでは「pass out + 学校」で卒業するという意味で使います。

●Capsicum

これはピーマンを意味します。アメリカ英語ではbell pepperやgreen pepperと言いますが、インドではcapsicumを使います。この表現はインドの他に、ニュージーランドやオーストラリアでも使われるそうです。どちらも元イギリス領なので共通点があるのかもしれませんね。

 ● I will be out of station fortnight.

“out of station”は、「休暇を取る」という意味で、駅は全く関係ありません。なので、上の文は「2週間休暇を取ります」となります。

ちなみにfortnight(2週間)はイギリスでは使われるものの、アメリカでは滅多に使われない単語です。これはかなり古くからある言葉で、シェイクスピアのロミオとジュリエット(初演は1595年頃)にも出てきます。こういう所からもイギリスの影響が強い事が分かりますね。

 

●Shoppe

shop(お店)の意味。これも古いイギリス英語で、決してスペルの間違いではありません。

現在でもShoppeはイギリスなど各国で使われていますが、日常で使われるというよりも、骨董店やブランド店などが昔風の雰囲気や高級感を持たせたい時に店名に使う事が多いようです。

ロンドンの菓子店。ビクトリア朝をイメージしている。

数字の表現

インド英語では、数字の表現も独特で、同じ数字が続いた時は、「ダブル」「トリプル」を使って表します。例えば、

98400 → nine eight four double zero

199909002→ one triple nine zero nine double zero two

という風になるので、日本人は慣れるまで戸惑うかもしれません。

よく言葉は場所や時代で変化する様子から「生き物」に例えられますが、インド英語も時代が移り変わる中で様々に変化している事が分かます。聞きなれないインド英語を初めて聞いた時は驚くかもしれませんが、言葉の裏に隠された歴史に触れ紐解けば、インドの更なる魅力が発見できますよ。

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