日産COOに、インド出身のグプタ氏が決定
2019年10月9日、日産自動車の次期COOにインド出身のアシュワニ・グプタ氏(49)が就任する事が発表されました。今回は、ホンダ、三菱、日産と、これまで20年以上も日本の自動車業界でグローバルに活躍してきた同氏についてお伝えいたします。
グプタ氏の経歴
1970年9月15日生まれ。インド北東部のデヘラーデドゥーン出身。
ジャワーハルラール・ネルー大学にてエンジニアリングを専攻。同大学は、研究型国立大学で、特に社会学科はインド最高峰として高い評価を受けています。
インシアード(INSEAD)で学位取得。インシアードは、フランスの名門ビジネススクールで、MBAプログラムはFinancial timesのglobal MBA rankingにおいて2016-2017で2年連続1位を獲得。世界80カ国以上から学生が集まるグローバルな環境で、卒業生は政財界で活躍しています。
1992年 民間セクターにおいて、開発および購買でキャリアをスタート
1996年 ホンダ入社。日本とインドで勤務
2006年 ルノー入社。ムンバイにあるルノー・インディアの購買担当ゼネラル・マネージャーに。
2008年 パリを拠点とするルノー・ニッサンパーチェシングオーガニゼーション(RNPO)にてブレーキシステムを担当するグローバル・サプライヤー・アカウント・マネージャーに就任。
2009年 日産とルノーの統括会社「ルノー日産BV」入社。グローバル購買担当のデピュティ・ゼネラル・マネージャー(DGM)就任。
2011年、日産のダットサンプロジェクト担当グローバル・プログラム・ダイレクターに就任。*ダットサンは2013年より日産が展開する新興国向けブランドで、同氏は、インド、ロシア、インドネシア、南アフリカにおける開発を主導。
2014年 ルノーの商用車部門のVPとして、グローバルLCV事業を統括。
2017年 3社連合の商用車部門を統括。
2018年 3社連合(ニッサン、三菱、ルノー)のLCV(小型商用車)事業を担当する専務執行役員就任。
2019年 4月より三菱自動車COO(最高執行責任者に就任。執行役のナンバー2にあたる。
2019年10月 日産COO就任が決定
グプタ氏起用の背景
グプタ氏は今回の自身の起用理由を、「いろんな国と文化のなかで仕事をし、14年間のアライアンス(日産、ルノー、三菱3社の企業連合)経験」と分析していますが、この決定の背景には、大株主であるルノー会長ジャンドミニク・スナール氏の意向が大いに反映されたとみられています。
益子修三菱自動車会長は、この人事を「非常に大きな痛手だが、パートナーの日産の早期復活は三菱自にもプラス。『息子』を旅立たせようと苦渋の決断をした」と容認しています。
ゴーン前会長の経営はトップダウン型で、取締役会が抑制できていなかった反省を踏まえ、西川広人前社長の後任に内田誠専務執行役員(53)、副COOには関潤専務執行役員を起用(58)。カルロス・ゴーン元会長に近い幹部を刷新すると共に、60代中心の経営陣の大幅な若返りをさせました。今後は、三頭指導体制型の経営で、チェック機能を強化していく方針です。
日本サイドからは、新経営陣の後任の条件として、「世界の自動車産業に詳しいこと」、「ルノー、三菱自動車とのアライアンスに深い理解と関心を持っていること」、「リーダーシップを発揮できること」が挙げられていましたが、日本語堪能で20年以上も日本の自動車産業界で活躍してきた同氏はまさに適任と言えるでしょう。
グプタ氏率いる日産の今後
グプタ氏は今後の方針として、家庭用電源で充電できるプラグインハイブリッド車(PHV)の拡充を「戦略の柱」とし、中東やアジアに投入。更には現在展開している「アウトランダー」以外の車種にもPHVを展開すると発表しました。 世界の環境基準は厳格化しており、インドでは2020年4月より新環境基準「バーラト・ステージ6」が施行され、未対応の車・燃料の販売はできなくなります。
現状、インドのEV車市場は未成熟で小さいものの、インド政府主導よる充電スポットなどのインフラ整備や海外からのEV事業への活発な投資が後押し、EV市場は新基準施行後の2025年以降に急激に拡大、2035年に37万台になる見込み。グプタ氏が拡充を表明したプラグインハイブリッド車(PHV)も4万台に増加する見通しです。
(右グラフ参照。出典:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49202050Q9A830C1000000/)
このEV車へのシフトの流れは、2019年10月に開催された東京モーターショーでも顕著となっており、各メーカーはこぞって電気自動車を発表しています。
日産も例外ではなく、同イベントにおいて軽自動車規格のEV車「ニッサンIMk」を世界で初めて発表。これには、スマートフォンを使ってクルマを自動的に駐車することができる「プロパイロットリモートパーキング」やスマートフォンで呼ぶとドライバーの元まで迎えに来る「ドライバーレスバレーパーキング機能」など、次世代の運転支援技術を搭載しています。
ニッサンIMK画像 (出典:https://news.mynavi.jp/article/20191101-nissan-imk/ )
19年12月1日に新体制が1ヶ月前倒しでスタートした日産ですが、再建のカギはルノーとの協業強化であり、そのための関係修復が急務となっています。長年にわたりインドと日本でグローバルに活躍していたグプタ氏の手腕に、インド人材をご紹介する弊社としても期待したいと思います。
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